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[OSS 2018 Berlin] OpenStack Summit 2018 Berlin - 1日目の基調講演

  • 2018-12-19 02:37
  • ACROFAN=權 容滿
  • yongman.kwon@acrofan.com
OpenStack財団(OSF:OpenStack Foundation)は現地時間11月13日から15日までドイツベルリンのCitycube Berlinで「OpenStack Summit Berlin」を開催した。今回の「OpenStack Summitベルリン」は「オープン・インフラストラクチャ-(Open Infrastructure)」を基調とし、35以上のプロジェクトで200以上のセッションやワークショップが50カ国以上から参加した専門家や関係者とともに行われた。

今回の「OpenStack Summit Berlin」はクラウドだけでなくエッジコンピューティング、CI/CD、AI、ネットワーク仮想化(NFV)、コンテナインフラに至るまで、様々な形の「オープン・インフラストラクチャー」での革新技術や事例について取り上げ、35以上のオープンソースプロジェクトで200以上のセッションやワークショップが用意された。特に今回のサミットが開かれるドイツはOpenStackが最も活発に使用される地域でも挙げられて、大型通信社やエンタープライズ、パブリッククラウドサービス事業者がOpenStackベース環境を活発に活用しており、コミュニティの規模や活動面でも活発な姿を見える地域に挙げられる。

また、OpenStack財団は今回の「OpenStack Summitベルリン」を通じていくつかの新しいニュースを発表した。まず昨年OpenStack SummitでOpenStackプロジェクト以外に始めてリリースした四つの「パイロットプロジェクト」の進行経過とともに、これを反映した新しいプロジェクトポリシーが発表された。そしてOpenStackの活用領域はもう人工知能やHPCなどにまで拡張されており、このための様々なプロジェクトのアップデートが紹介された。一方、OpenStack財団は次回のサミットからサミットの公式名称を「OpenStack Summit」から「Open Infrastructure Summit」に変更という計画も発表した。

 
▲Jonathan Bryce OpenStack財団エグゼクティブディレクター

 
▲現在OpenStackはすべての形態の「オープンインフラ」のベースとして位置づけている

Jonathan Bryce OpenStack財団エグゼクティブディレクターはまず、現在「OpenStack Summit」は大規模なグローバルイベントになっており、今回のサミットは2016年バルセロナの以降2年ぶりにヨーロッパで開催されるサミットだと紹介した。そして最近のイベントにおいてOpenStackが見せてくれた重要なメッセージでは「オープン・インフラストラクチャー」を挙げて、これに対して技術とコミュニティの観点からどのような機会があるか考える必要があると明らかにした。これと共に様々な調査で回答者の81%はオープンソースが今後数年間より重要に扱われると予想したと付け加えた。

そして企業がオープンソースの考慮と一緒に大切に思っている点ではオープンソースがもたらすビジネスモデルでの「柔軟性」が挙げられ、これはOpenStack財団のユーザー対象調査と、別の外部機関での調査結果が一致すると紹介した。これはオープンソース生態系がもたらす様々な選択のおかげでもあり、これに力づけられてOpenStackは多くのエンタープライズプライベートクラウドだけでなく現在全世界で75個のパブリッククラウドデータセンターでも活用されており、これはビジネスでの柔軟性の側面が反映された部分であると言及した。

これと共にオープンソースが提供する利点なら、特定ベンダ技術への従属性を根本的に防ぎ、さまざまな環境間の相互運用性を提供することができるという点と、統合や移植などの利点も提供しており、オープンソースを通じて時には市場の変化に追いつくのにとどまらずこれを超えることができるという点が挙げられた。そして「オープン・インフラストラクチャー」はソフトウェア定義ベース、クラウドネイティブやAIなどの新しいワークロードの登場など近年間インフラに対するニーズ変化を反映し、オープンソースベースの技術を組み合わせた「オープン・インフラストラクチャー」は柔軟性、革新性、相互運用性、コミュニティの集団知性に至るまで様々な特徴を備えていると付け加えた。

昨年、OpenStackのプロジェクトは計7万回のコミットが行われ、最新のRockyリリースでは一日に182回の変更が行われた程度で全世界で最も活発な活動を見せるプロジェクトの一つとなった。そして現在OpenStackはVMとデータセンターだけでなくコンテナなどの新しい環境、AIやマシンラーニング、エッジコンピューティングなどの新しいアプリケーションなどを接続し、データセンターと通信事業者のネットワーク環境などをすべて網羅するソフトウェア定義ベースの「ベースインフラ」として位置しており、これにOpenStack Summitまた、OpenStackだけでなくさまざまなプロジェクトを扱っているだけに次回サミットからはサミットの名称も「Open Infrastructure Summit」に変わると発表した。

 
▲Oerlikonの事例ではOpenStackベースのマシンデータを集めて生産環境を最適化した

 
▲KubernetesとOpenStackはもうお互い一緒に行く仲でもある

OerlikonのManMade Fibersセグメントの事例で、OpenStackはこれらのレガシー、コンテナとサードパーティワークロードを統合する基盤環境づくりに活用された。Oerlikonは急速に進行されるヤン(Yarn)の生産において瞬間的に出る短い不良が大きな問題を作り、これに工程最適化のためマシンラーニング、プロセス統合、自動化などが結合されたデジタル化を進めており、エッジコンピューティングベースでのAI技術を導入した。これによりシートベルトのためのヤンの生産で地理的に離れて配置されている120個のマシンで69,120個のセンサーがデータを検出し、障害のグラフを把握して一日35万回のオンライン決定をし、データの収集とトレーニングを通じてモデルを最適化していると明らかにした。

Red HatののNick Barcet OpenStack製品マネジメントシニアディレクターはOpenStackがパブリックとプライベートクラウド、通信事業者とNFVなどをすべて網羅する「オープン・インフラストラクチャー」のための優れたツールであるという点を強調した。また、最近浮上される新しいワークロードであるコンテナ、人工知能とマシンラーニング、ビッグデータ、HPCと直接ハードウェア接近などと一緒に、VM内部でのコンテナのモデル、ベアメタルでのコンテナモデル、マルチテナントBMaaSなどの新たな展開モデルも登場しており、このような様々な事例でOpenStackもまたOpenStackプロジェクト内部の技術だけではすべて対応することができないと明らかにした。
これにOpenStackとKubernetesが会ったときに、両方は実際的に競争関係というよりお互いを補完することができる関係でも見ることができて、両方が会う部分が「オープン・インフラストラクチャー」の位置だと明らかにした。これはOpenStackがKubernetesを大規模環境に配布できるインフラ環境を提供できるからでもある。そしてRed Hatはこの席で今回のベルリンサミットを通じて最新の「Rocky」リリースをベースとした「RedHat OpenStack プラットフォーム14」を発表し、このリリースの特徴としてはOpenStackベースのオープンシフト能力強化を挙げた。このバージョンは12月くらいに一般公開される予定である。

また、Red Hatはエッジ環境のための新しいVCO(Virtual Central Office)を紹介した。このOPNFVのプロジェクトに基づいてOpenStack、Kubernetes、OpenDayLight、Ansibleなどを含め、エッジベースサービスの展開と運営を簡素化できるようにする柔軟な「オープンプラガブルフレームワーク」である。一方、この他にもRed HatはVMwareのワークロードをGUIベース環境で素早くOpenStackベース環境にもたらせるようにする「ダイナミックマイグレーション」、最新機能の導入と革新加速のために一般的な6ヶ月サイクルよりももっと引いた3ヶ月リリースサイクル導入などを言及した。

 
▲スウェーデンのSBABはOpenStackベースでの「マイクロサービス」と積極的な自動化を活用した

 
▲パブリッククラウドスタックを個別ハードウェアに搭載したハイブリッドサービスが紹介された

スウェーデンのSBAB銀行の事例ではデジタルマーケットで重要な業務の迅速性と速度向上のため、業務を支えるITアーキテクチャの変化も必要だと紹介された。そしてこのためのアーキテクチャの変化には、既存のすべての構成要素が一つで作られた「モノリシック」方式を解体し、OpenStackプラットフォームをベースにしたマイクロサービスを通じて高速と顧客対面アプリケーションに焦点を当てることができて、すべての可能な段階に自動化を適用して「待ち」を最小限に減らしたと述べた。また、既存環境での問題であった展開の際修正によるダウンタイムを減らすことでも大きな効果を収めたと付け加えた。

ドイツテレコム(Teutsche Telekom)はOpenStackについて大きくて時には複雑だが、クラウドのすべての側面に対応する非常に柔軟なプラットフォームであると述べた。また、ドイツテレコムはOpenStackベースのインフラで提供するAI技術を用いて一般的なイメージを有名なアーティストの感じに変えてくれるデモを披露した。そしてOpenStackベースの「オープンテレコムクラウド」はもはやインフラからプラットフォームに変わりつつあり、これにコンテナサポートでもOpenStackベースのプラットフォームにKubernetes運営関連の機能を統合し、「カタコンテナ(kata containers)」を通じて強化されたデータの保護を提供すると明らかにした。

また、信頼できる運営に対する専門性側面を提供する「Day-2-Operations」はインフラへのモニタリングと正確な分析に基づいて、正確な容量管理を通じて最高のユーザー体験を提供する。この他にもセキュリティの面ではパブリッククラウドの利点と分離されたハードウェアの保安性、両側の利点をとるためのハイブリッド概念が導入され、これはOpenStackベースで分離されたハードウェアで運営されるフルマネージドハイブリッドクラウドであり、これは顧客のデータセンターに設置されて運営されることもあると述べた。

 
▲Tillman SchulzプライベートクラウドサービスリードとLauren Sell OpenStack財団マーケティング及びコミュニティサービス副社長
 
▲Huaweiの「フュージョンクラウド」はフルスタッククラウドソリューションを提案する

フォルクスワーゲン(Volkswagen)グループもまた、OpenStackの長いユーザーに挙げられ、2015年からOpenStackベースのクラウドインフラを成功的に運営してきている。そして最近自動車業界の変化は自動車の生産とサービス提供だけでなく「モビリティサービス」などに至るまで拡張されており、これにコスト効率的で効果的に対応できる部分が重要であると紹介された。そしてこのような需要の対応でOpenStackベース環境は高い性能と信頼性、管理容易性、変化に対応する柔軟性と拡張性、コスト効率性などをすべて備えており、今後の課題としては使用環境に影響の少ないアップグレードの実行などを挙げた。

HuaweiのFrank Weynsクラウドコンピューティングウェスティンヨーロッパチーフシステムアーキテクトはこの場で、もうOpenStackは新しい技術、ソフトウェア、新しいハードウェアなどを全部収容できる完璧な「オープン・インフラストラクチャー」プラットフォームだと強調した。そしてOpenStackはクラウドだけでなくIoTなどでも有用であり、「デジタル変革」のための技術を一つにまとめるのにも重要な役割をしていると強調した。また、Huaweiは「フルスタッククラウド」がリソースコンバージェンス、データインテリジェンス、サービスイノベーションがすべて集まって全体的なクラウドの変革を作っていくことができるモデルであり、そのための重要な技術としてはAI、ビッグデータ、クラウド、DevOps、エッジコンピューティングを挙げた。

クラウドにAI技術の導入はますます大規模の複雑化されるクラウド環境で人によるミスを減らし、異常状況に自動対応して「セルフヒーリング」を実装することができるようにする。また、ビッグデータの部分ではOpenStackベースでさまざまなデータベースを必要に応じて組み合わせることができると明らかにした。クラウドではパブリック・クラウドの感じを持つフルスタックのプライベートクラウドでIT運用を単純化し、 DevOpsではOpenStackとKubernetesの自動化されたオーケストレーションを通じて、サービスロールアウト期間を大幅に減らせると紹介した。この他にもエッジコンピューティングではインテリジェンスとモバイル化、エッの自動化とエッジ-クラウド結合の観点が紹介された。

 
▲Ironicのインフラ運営者のための機能追加は運営者のプロジェクト貢献の結果であるはず

 
▲ダウンタイムのないOpenStackインフラアップグレードの事例も共有された

一方、OpenStackはもはや全世界に1千万コア以上の環境で運営されており、プロダクション環境でも十分安定的に活用されており、様々な新しいユースケースが出てきていると紹介された。そして開発からの寄与は全世界で起こっており、最新の「Rocky」サイクルでは32,800回の変動があったと明らかにした。そしてこの貢献の面で注目すべき傾向では「オペレーター」の参加割合が高まっているという点が挙げられたが、プロジェクトチームでのオペレーターとの協力増加やPTGでのオペレーター参加率の増加とともに、全体コミットの25%がオペレーターの貢献という点が挙げられた。

これと共にIronicの最近アップデートは運営者がOpenStackのベアメタル配布をより便利にできるよう、BIOSセッチング変更などをソフトウェアツールでできるようしたと紹介された。また、新しいハードウェアアーキテクチャをサポートではx86だけでなくARMアーキテクチャも支援し、Cyborgプロジェクトを通じてAI、マシンラーニングなどのワークロードでGPU、FPGAなどを直接活用できると紹介した。この他にも配布サイズを減らして汎用性を高め、コンピュート以上のインフラサポートの面でMagnumはもう公式Kubernetesインストーラになったと付け加えた。

OpenStackベースパブリッククラウドの運用事例としてはOVHが選ばれた。OVHはグローバルスケールのベアメタル、プライベートとパブリック・クラウドを28個のデータセンターから36万台のサーバー規模で運営しており、OpenStackはこれらのパブリック・クラウドのメインレイヤーであり、ベアメタルの抽象化レイヤーで、内部的にも独自インフラのベースだと紹介された。そしてこれらはOpenStackベースの環境で新たな地域の初期構成を8時間程度に終えて、最大5万個程度のインスタンスが運営されるリージョンレベルのバージョンのアップグレードを1年のR&Dを経てダウンタイムなしで4時間で成功的に終了したと明らかにした。この他にもNVIDIAテスラベースGPUクラウドをOpenStackベースでPCIパススルーを通じてハードウェアに直接接続で実装したと付け加えた。