遠隔地向けコネクティビティのユースケースは、単純な監視から複雑なAIモデルのリアルタイム分析へと進化している。 IoTにより、データフィードの数も指数関数的に増加している。 これらの要因により、遠隔地向けコネクティビティ分野で最も費用効果の高い選択肢を特定することはより困難になっており、速度、規模、電力などのデータ転送要件を注意深く評価する必要がある。
そこで、先端技術を専門とする米調査会社ラックスリサーチは、新しいレポート、「Innovating Remote Connectivity(遠隔地向けコネクティビティにおけるイノベーション)」をまとめ、遠隔地におけるコネクティビティソリューションを必要とする主要産業を想定し、進化しつつある遠隔地向けコネクティビテイ技術とその適性を分析した。
距離が長いほど、伝送技術の選択肢は少なくなり、遠隔接続に適した信頼できるオプションとしては4G/5Gモバイル通信、LPWAN、衛星通信が選択肢として残る。「4Gモバイル通信、LPWAN、衛星通信間のトレードオフはすでによく知られている。LPWANの低帯域は遠隔機器監視に適しているが、衛星通信は長距離での環境監視に適しています」と、ラックスリサーチのアナリスト、Michael Sullivanはコメントしている。
ただし、遠隔地向けのコネクティビティソリューションは、データの送信方法だけではなく、データが処理される場所も重要な考慮事項だ。エッジコンピューティングにより、企業はデータソースに戦略的にデータ処理ノードを近づけることができ、遅延の削減が可能となる。エッジコンピューティングのようにデータをローカルで処理できる場合、リモートデータセンターに送信するトラフィックや中央クラウドプラットフォームに転送して処理するトラフィックを減らすことができる。この能力により、帯域幅と電力要件が削減され、低コストの技術を展開することが可能になる。
ラックスリサーチは、主要産業におけるユースケースに対し、最適な接続オプションを特定した。以下がその一部だ。
石油・ガス:LPWANを地上設備監視に、衛星を陸上又は海上掘削に利用すべきだ。油井と生産データ分析に最適なソリューションは、レンジとローレイテンシーの両方を組み合わせた5Gハイブリッドになりつつある。
遠隔製造:ロボットと機械の予測的な保守や遠隔操作のため、5Gが適しているが、エネルギー消費監視にはLPWANを使うべきだ。
鉱業・建設業:現場設備監視のためのLPWAN、現場検査のための衛星通信、自動機稼働のための5Gと、複数のソリューションを活用することが可能だ。
サプライチェーン:倉庫と物流監視のためにLPWANを使用し、リアルタイムの追跡と追跡のために5Gと衛星を使用し、コールドチェーン監視ソリューションのためにLPWANと衛星のハイブリッドを使用する、複合技術アプローチが適している。
公益事業:風力発電の稼働やスマートメーターなどはLPWANを活用でき、また無人航空機による検査は衛星通信を活用できる。
ラックスリサーチは、5Gテクノロジーがマルチバンドのユースケースへの対応力を備えた技術として台頭し、また衛星通信はより多くのIoTサービスに対応するにつれてコスト効率が向上すると予測している。加えて、6Gは遠隔通信での利用が限られているmmWaveの拡大へ向けて今後関心が高まると指摘している。