歩行者にとって安全で快適な歩行環境を提供する「歩きやすい都市づくり」(Walkable Urbanism)は、今や都市開発の新しい世界標準になりつつある。世界の都市プランナーは歩きやすい都市空間の形成に向けて、歩行者優先の街づくりのための様々なアイディアを生み出している。
ソウルもまた、このような世界の動きに歩調を合わせ、歩きやすい都市づくりに取り組んでいる。その代表的な例が、2017年5月20日に開通した「Seoullo 7017」(ソウル路7017)(以下、「Seoullo」)だ。Seoulloは、45年間、自動車専用道路として使われていた高架橋を歩行者用に改修した長さ1,024メートルの散歩道である。グランドオープンから 500 万人がSeoulloを訪れ、ソウル市の歩きやすい都市構想を象徴する場所となった。
「7017」という名前は、高架橋が建設された年の「1970」と、歩行者用歩道に生まれ変わった年の「2017」を組み合わせてつけられた。また、新しくつながる17の道路、高さ17メートルの高架という意味も込められている。
Seoulloが位置するソウル駅一帯は、毎日39万人が往来するソウルの玄関口ともいえるエリアだが、長い間自動車専用の高架橋に囲まれ、島のように孤立していた。ソウル市は、老朽化した高架橋を取り壊すのではなく、都市再生の起爆剤として歩行者のための空中遊歩道につくり変えることで新しい命を吹き込んだ。
Seoulloを設計した建築家のヴィニー・マース(Winy Maas)氏は、「ソウル駅高架はとてもユニークだ。よくニューヨークのハイラインと比較されるが、相違点が多い。まず規模が違う。一番の都心に位置しており、違う高さに、様々なコンテクストで繋がっている。高架橋の再利用という点でも、Seoulloはより面白いプロジェクトだと思う」と述べた。
Seoulloで注目すべき点は、歩行路を大きな一つの木に見立てて設計されているところだ。そこから枝のように伸びた17の道路が有機的に結びつき、断絶されていた周辺地域との架け橋となった。自然を媒介に、鉄筋コンクリートの建造物を生命力に満ち溢れた空間へと一変させたビジョンと戦略は、未来志向的で革新的だと高く評価されている。
朴元淳ソウル市長は、「Seoulloプロジェクトは、開発が立ち遅れたソウル駅一帯とその周辺地域を再活性化させるための新しい試み。私たちはSeoulloを、人々が集う場所に変え、そこから生まれた活力が周辺地域の活性化の呼び水になるよう最善を尽くしたい」と話す。