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モレックス、48Vシステムの進化に関する新たな業界レポートを発表 自動車電源アーキテクチャの大きな変革と見通し

  • 2024-10-24 13:46
  • ACROFAN=Newswire
  • newswire@acrofan.com
 
エレクトロニクスで世界をリードしコネクティビティの分野で革新を続けるモレックスは、自動車の性能、効率、機能、快適性の大幅な向上を推進するとされ勢いを増す48V電源システムテクノロジーに関する、新しいレポートを発表しました。今回のレポート、Rewiring the Road: Harnessing the Power of 48V (自動車の配線を変える 48Vのパワーを活かす) は、昨今の48V化への流れを受け、自動車メーカーやプロダクトデザイン・エンジニアの皆様向けに、12Vから48Vへの移行に伴う可能性やリスクを知り乗り越えていくための現実的な参考情報としてお役立ていただくべく、業界の趨勢その他情報をまとめたレポートとなっています。

「48Vはたいへん有望な技術でありますが、本格普及を実現するには業界内で協調し技術的障壁を克服して業界スタンダードを確立する必要があります」と、弊社トランスポーテーション・イノベーティブ・ソリューションズのSVP兼プレジデント スコット・ウィッカーは述べています。「弊社は48Vの採用を加速すべく、自動車エコシステムのパートナー各社との協業を進めております。協業を介し、各種電気コンポーネントおよびコネクティビティソリューション等のシステム統合の最適化や、開発コストの低減、そして早期の発売が可能となり、車両内の電力供給の信頼性と効率を確かなものとすることができると考えています」(同)

自動車の新たな可能性を解き放つ

電圧が従来の4倍になる48Vシステムでは、電動ターボチャージャーや回生ブレーキ、インフォテインメントシステム、さらに補機充電用のバッテリープレコンディショニングといった車載機能の先進化、高度化が進みます。48Vシステムは電動コンポーネントの効率を格段に向上し、クライメートコントロールの反応性やステアリングの応答性の向上、エンジン温度の精密制御等が実現します。より高電流、高電圧の電源供給が可能となることで、先進の運転者支援システム (ADAS) 関連の重要機能であるセンサーやアクチュエータ、コントロールユニットの電源効率も向上し、完全自動運転化への道につながっていくと考えられます。

48Vシステムは汎用性に優れ、伝統的な内燃機関 (ICE) 車と完全電気自動車 (BEV) の両方への適用が可能です。モレックスの今回のレポートでは、車両の様々なサイズ、タイプ、出力要件に合わせてカスタマイズするフレキシブルなアーキテクチャによるモジュール型48Vプラットフォームの需要を強調し、既存と新出両方の車両セグメントで約束される48Vのさまざまな利点を挙げています。従来よりも電圧の高くなる48Vシステムでは電磁干渉 (EMI) が増加する可能性があり、低電圧システムの場合よりも電磁遮蔽は難しくなります。高電流、高電圧化により要件が厳しくなれば重量やスペース、コストに関連した課題も出てくるため、配線やハーネスの設計も同様に重要になります。

Caresoftの分析調査で、商機と障壁を裏付け

自動車の分析調査の分野をリードするCaresoft Globalは、ほぼ確定とも見られる48V移行への流れに関連して、燃料効率の最適化や排出削減、全体的なドライビングエクスペリエンスの向上につながる48Vシステム搭載車に関する調査を進めています。Caresoftは最近のレポートThe Evolution of 48-Volt Architecture in Electric Vehicles (電気自動車48Vアーキテクチャの進化) で、EV販売を行っている主要自動車メーカーの開発状況を挙げ、48Vの主要な利点と課題を解説しています。Caresoftは車両を極細部にまで分解・分析した調査データを提供する企業として知られ、48V搭載車両についても同様の分析を実施し、48V化がシステム効率や配線の簡素化、車両性能に与える影響を強調しています。

Caresoft Global プレジデントのTerry Woychowski (テリー・ウォシャウスキー) 氏は、「48Vアーキテクチャの出現は、厳しい環境規制や消費者の要求を満たしていくためのターニングポイントだと考えています。先見性あるEVメーカーでは、EVエコシステム全体の主要ステイクホルダーとの密接な協力により、48V技術の革新をさらに進め成功に向けた障壁を低くするべく態勢作りが進んでいます」と語っています。

48V成功へのロードマップ

48Vの本格導入までの道のりでは、48Vコンポーネントへの先行投資、既存車両プラットフォームへの48Vの統合、現在の電装系および安全機能との完全互換性など、たくさんの頭の痛い障壁をクリアするための、アジャイル開発手法や業界の協働が必要です。48Vバッテリーのコストを低減しながらエネルギー密度と出力を高め長寿命化も実現するには、バッテリー性能の精密な調整が重要です。異車種間でも相互置換が可能なモーターやインバーター、DC/DCコンバーター、バッテリー等のコンポーネントで構成するモジュール型のプラットフォームは、より高効率でコスト効率に優れた車両設計のために特に必要性の高い要素となります。

コネクター設計、素材、生産の進化

48V電気システムでは、より高性能で高信頼性のコネクターが必要であり、また、電気的および熱的特性に優れた先端素材も必要になってきます。モレックスのレポートには、コネクターの腐食を防止し、理想的な導電性能を維持し、長寿命化するための、コンタクト部めっき技術の改善に関するインサイトを掲載しています。車両各部への電源供給性能の向上、配線の複雑さの解消、システムの信頼性の大幅アップのためには、ゾーナルアーキテクチャなどの自動車設計に関連したイノベーションは極めて重要です。主に自動組立ラインにおける精密加工も、品質および効率の安定した製品生産の促進に役立ちます。

この業界レポートでは、48Vシステムを搭載した車両の開発を支援する、モレックスの取り組みを中心に説明しています。これに関連し、自動車業界の新たなニーズに対応した製品として、MX150中圧用コネクターシステムを提供しています。組立効率とパッケージサイズの小型化を目指して開発されたMX150は、48V配線アプリケーション向けの堅牢、高信頼性のソリューションです。本コネクターシステムは最大60Vまで対応し、より小径の電線の使用が可能、従来品の優れた性能はそのままに重量とコストを低減した製品となっております。