Teledyne e2vはMicrochip Technologyと連携し、宇宙空間での高速データ処理を可能にする、画期的な宇宙用コンピューティングのリファレンスデザインの開発を行っています。この革新的なリファレンスデザインは、2023年10月2日から6日まで、フランスのジュアン・レ・パンで開催されるEDHPC 2023(European Data Handling & Data Processing Conference)で発表されます。
Teledyne e2vの耐放射線プロセッシングプラットフォームQormino® QLS1046-SpaceとMicrochipのデータ通信テクノロジーを搭載した宇宙用コンピューティングのリファレンスデザインは、卓越した耐放射線性能(RT)を備えており、堅牢で高性能なプロセッシングに加えて強化されたサブシステムの接続機能を提供します。30,000 DMIPSの演算処理能力を持つクアッドコアARM® Cortex®-A72と、4~8GBのQLS1046-Spaceの高速DDR4 、さらに複数の高速インターフェースを実装することによって、通信用RFフロントエンド、高解像画像センサーやレーダー、宇宙船内のその他のプロセッシング機器など、さまざまなソースからの大量の受信データを高速に処理してルーティングできる設計になっています。
MicrochipのRTイーサネットPHYによるギガビット・イーサネット・インターフェースは、高速接続を実現ます。宇宙コンピューティング用リファレンスデザインはVSC8541RT PHYを使用して2つのRGMIIリンクを提供すると同時に、新製品のVSC8574RTを採用して2個のSGMIIインターフェースも提供し、合計4個のギガビット・イーサネット接続を実現します。イーサネット・インターフェースはQLS1046-Space上で利用できるすべての高速インターフェースを活用することによって、さらに最大7個まで移植でき、将来的にLX2160-Spaceでは最大18個まで拡大されます。
これによって、QSL1046-Spaceと通信衛星や宇宙船内の他のデバイスとの間の高速伝送が可能になります。この宇宙コンピューティング・リファレンスデザインは、地球観測やSATCOMアプリケーション、宇宙防衛、スペースデブリ監視等での活用を想定したものです。
Teledyne e2vのアプリケーションエンジニア、Thomas Porchezは次のように述べています。「最新の宇宙用ハードウェアの大半が分散型アーキテクチャを持つことになると考えられます。通常、サブシステム間の通信は10~100メガビットのデータ転送レートに依存しています。現在、リアルタイム画像処理、AIドリブンな分析、ナビゲーションなどの様々なのために、より高度なレベルの機能が組み入れられるようになっており、高度な通信方式の導入等の性能の強化が不可避になっています。当社はMicrochipと協力することによって、QLS1046-Spaceのインターフェース機能を大幅に向上させ、高速化に加えて伝送距離も延長することができました。これは、宇宙分野においてお客様がエッジコンピューティング・アプリケーションに求めるニーズに完ぺきに一致するものです。」
Microchipの航空宇宙・防衛ビジネスユニットのマーケティングおよびアプリケーション担当シニアマネージャー、Nicolas Ganry氏は次のように述べています。「Microchipの耐放射線性ギガビット イーサネット PHY ファミリをTeledyne e2vの宇宙用コンピューティング・リファレンスデザインに組み込むことによって、宇宙市場のお客様にさまざまな宇宙アプリケーションでの高信頼性と高速接続を提供していきます。Microchipは60年以上に渡って、宇宙分野におけるミッションの実現に取り組み続けています。」
EDHPCカンファレンスでは、Teledyne e2v とMicrochipの双方の担当者が、宇宙空間でのエッジ・コンピューティングとデータ通信についての各社の取り組みに関する論文を発表します。