acrofan

産業 経済 技術 ゲーム
社会 生活 自動車 メディア

コラム - Pharma 4.0、製薬業界もこれからスマートファクトリーだ

  • 2020-04-01 18:16
  • ACROFAN=辛 承羲
  • seunghee.shin@acrofan.com
 2012年ドイツ政府の中核未来プロジェクトで導入されたインダストリー4.0(Industry 4.0)は、製造業の競争力強化のためにサイバー物理システム、物事インターネット、クラウドコンピューティングなどを適用して、結果的にはスマートファクトリー(smart factory、またはインテリジェント工場)を構築することを目的とする。つまり、スマートファクトリーは製品の生産過程においてある一部分だけではなく、全過程が接続されて相互コミュニケーションが自動的に行われる工場を意味する。

スマートファクトリーの構築過程に必要な要件としては標準化、システム管理、通信インフラ整備、そして安全と保安などがある。標準化が重要な理由は製造工場の設備が様々な物やサービスと接続されているが、通信手段やデータ形式などが標準化されていない場合、多くの物事を接続したとき費用がたくさんかかるからである。設備全体を接続するため複雑になったシステムは、特別な管理が行われなかったら正常に動作することができないため、システム管理と信頼性の高い通信インフラ機器が必要である。また、保安が脆弱だと全工程に問題が起こる可能性があるため、安全性と保安が必修的に揃えるべきだ。

インダストリー4.0が実現されると製品の企画、製造、流通などの全過程が統合される。エネルギー節減と安全な生産環境が実装されて経済的な側面での効率が高まるだけでなく、柔軟な生産システムが構築され生産性も向上することができる。はるかに大きい数字の大量生産が可能で、パーソナライズされた製品まで迅速に顧客に提供することができ、不良品の確率を大幅に減らすことができる。この他にも企業はスマートファクトリを通じた費用と時間節約で製品の開発プロセスにさらに投資することもできるし、または新たなビジネスチャンスを模索することもできる。

▲国際製薬技術協会が発表したPharma 4.0はインダストリー4.0を導入した新たな医薬品製造工程のパラダイムである。 (出典:国際製薬技術協会)

これにより多くの製造分野でスマートファクトリー化を急いでおり、特に製薬業界では昨年から本格的に導入する姿を見せる。国際製薬技術協会(ISPE)は2017年11月に4次産業革命の時代に合わせて医薬品の製造工程を高度化するためにインダストリー4.0を導入した新たな医薬品製造工程のパラダイムである「Pharma 4.0」を発表した。そしてPharma 4.0の導入は医薬品工程の所要時間と費用の効果的な短縮と、それに伴う製薬産業の限りない発展を可能にするものと多くの学者は期待している。

特に製薬業界のような場合には、製品の全生産過程での衛生管理が非常に重要であるため、汚染が発生しがちな状況を最小限にすることが必要である。このため製薬業界は、これまで生産過程の大きな枠組みが何度も変わってきた。2015年までとしても製薬業界は50年以上の間、一つの巨大な樽で薬を作って各段階が終わるたびに品質をチェックするバッチ生産法を活用した「不連続工程」を使用しており、これは全体の製造過程で時間がかかるだけでなく、薬の移動が頻繁になって起こりがちの汚染などの衛生管理の問題や品質に関連する問題を抱えていた。

しかし2016年からは「連続工程」が導入され、製造過程中にいつでも品質点検が可能であり、製造時間と運用費用を最大50%まで削減することができた。そしてPharma 4.0が最終的に目指していこうというのが連続工程の導入である。連続工程は生産に必要とされる全ての工程を連結して生成する方式で、QbD(Quality by Design)品質システムとPAT(Process Analytical Technology)をベースにしている。

QbD品質システムは、製造工程と品質管理が分離された従来のGMPシステムとは異なり、リアルタイムで工程段階で品質管理を同時に行うことができてリアルタイムモニタリングが可能である。これにより医薬品生産のすべての段階で事前に発生する可能性のあるリスクを予め把握して管理し、リアルタイムで最適の条件で安定した品質の製品が生産されるように持続して工程を管理し品質を向上させて保証することができるようになる。

PATはQbD品質システムと共にリアルタイムで医薬品製造の全工程をモニタリングができるようにしてくれる技術である。IIoTを導入したPATのセンサーを通じて工場のすべての過程で温度、圧力、重量などの情報がリアルタイムに収集され、管理することが可能になる。製薬工程で使用されるPAT技術ではNR、PA(Passive Acoustics)、TEE(Thermal Effusivity)、VC(Video Capture)などがある。 PATは生産周期時間の減少を通じた生産効率の向上が可能であるという特徴がある。

▲保寧製薬は生産から梱包、発送までに全工程が自動化されたスマートファクトリを導入したところである。 (出典:保寧製薬)

2018年からは製薬業界からインダストリー4.0を導入しようとする試みが徐々に見えて、最近いくつかの製薬会社は構築を完了した状態か、その過程中である。しかしまだ国内の製薬業界は初期段階にあると見られる。まだ多くの会社は費用上の問題や部署間の葛藤、保安上の問題、雇用問題、固定観念などにより迷っている。その中には短い期間内に解決できなかったり、または社会的に解決しなければならない宿題もある。でも、もはやスマートファクトリーは選択ではなく、汎企業的な先進国の製造業生態系の重要な戦略として定着した。

今後ますます多くの製薬会社が製造過程中の汚染や不良品の確率を減らし、品質に関連する問題を解決することに加えて、顧客に一般医薬品だけでなくパーソナライズされた薬品も早いうちに提供することができるスマートファクトリーを決定することになると思われる。包装紙だけ異なって成分が同じ数十種類の薬品のみを生産するのではなく、今では会社ごとにそれぞれの強みを持って、さらに差別化して近付くために研究・開発部門にもっと投資しなければならない。

既存のスマートファクトリーも引き続き発展していく予定である。人工知能とマシンラーニングを通じたデータ分析や予測だけでなく、ハイブリッド・クラウドに昨年公開された5Gまで加わって、もっと迅速でスマートな工場で生まれ変わると思われる。最近政府は新型コロナウイルス感染症による診断キットの大量生産の難しさを解決するため、「データに基づくバイオ分野のスマート工場の構築を支援する」と述べた。これは生産性におけてスマートファクトリーの重要性を知らせ、良い例になれる。すべてがデジタル化されている今の時点で、これから我らはこれを活用してよりスマートになることが課題となった。