エレクトロニクスで世界をリードし、コネクティビティの分野で革新を続けるモレックスは、本日、信頼性に関するグローバルアンケート調査の結果を発表しました。この調査により、システムアーキテクトやデバイスを含むハードウェアの設計エンジニアが、信頼性に対する期待の高まりと、増え続ける製品の複雑さ、テスト時間の減少、さらにはコストや製造上の制約とのバランスを取る際に直面する課題が明らかになりました。同時に、本アンケート調査結果は、将来への期待も示しています。AI、ML、シミュレーション、高度なアナリティクスなどの重要なテクノロジーが生み出す新たな機会への期待がその主な理由です。
また、重要なこととして、調査回答者の91%が、信頼できる製品を提供する能力と信頼され実績のあるサプライヤーとの関係には強い相関関係があると回答しています。そのため、回答者の96%が信頼性の問題で部品サプライヤーを変更したことがあり、4分の1以上が頻繁に変更していると回答しています。回答者の74%が、設計サイクルの短縮によって信頼性が危険にさらされていると考えていることからもわかるように、全体として、こうしたサプライヤーとの関係はますます重要になってきています。
モレックスのトランスポーテーション&イノベーティブソリューションズSVP兼プレジデントのスコット・ウィッカーは、「信頼性は、製品開発、製造、そして最終的にはエンドユーザー体験のあらゆる面に広く影響を及ぼす、まさに 「かなめ」となるトピックです。信頼性の高い製品の設計と開発を加速させるためには、適切なパートナーを選び、最も効果的なプロセスを導入し、最新のデータインサイトを活用することが非常に重要です。当社の最新の業界グローバルアンケート調査の結果は、製品の信頼性に対する期待の変化と設計上のトレードオフの現実を示すとともに、AIとデータ主導のイノベーションが、製品の信頼性を次のレベルに引き上げるという楽観的な見方が広がっていることを示していると言えるでしょう」と語ります。
信頼性の現状
モレックスは、Dimensional Research社に委託し、ハードウェア設計またはシステムアーキテクチャにな職務責任または経営責任を持つ調査対象として適切な750人以上の回答者をグローバルに募り、アンケート調査を実施しました。回答者は、エンドユーザーの信頼性への期待の変化に対する反応を共有しており、54%が、信頼性がブランドロイヤルティをますます高めていると確信しています。さらに、調査対象者の52%が、顧客は埃、水、振動を含むあらゆる環境条件下でデバイスが確実に動作することを期待していると答えました。
多数の企業は、信頼性への取り組みを品質部門(64%)に依存しており、テストエンジニアリング(60%)、製品開発(58%)がそれに続いています。しかし、自動車/運輸部門では、製品が厳しい信頼性要件を満たすことを保証するテストエンジニアリングが最も高くなっています(71%)。信頼性に対する各社の取り組みについて、全業界からの調査回答者は、製品を過剰に設計する傾向が、低コストの解決策を追求する傾向の2倍近くあると答えています。多くの関係者は(42%)、現行の業界認証や標準を上回ることを目標にハードウェアを設計し、44%は将来起こりうる要件に沿うよう努力しています。現行と将来の潜在的な要件の両方に対応するために取り組んでいると答えたのはデータ通信業界の回答者で、全体の半数以上(51%)を占める結果となりました。信頼性が重要であるにもかかわらず、製品設計を開始する前に検証/妥当性確認計画を策定しているエンジニアはわずか18%にとどまっていることも明らかになりました。半数に近い(44%)は、製品設計と並行して信頼性要件を満たすための計画を策定していると回答しています。
信頼性リスクの低減
信頼性を考慮した設計をする際に最も困難なこととして、回答者はテストに十分な時間をかけることを挙げ(42%)、次いで、サプライヤーの品質、コスト、設計属性と信頼性への影響の関連性が37%で並びました。エンジニアがトレードオフを決める際に優先したのは、信頼性よりもコスト(50%)、製造性(46%)、ユーザーエクスペリエンス(35%)でした。対照的に、信頼性よりも重量(35%)、機能(26%)、フォームファクター/サイズ(26%)を重視する傾向は最も低いことが分かりました。
AIとデータに基づくツールの台頭
現在、設計のトレードオフを評価するのにデータをもとにしたモデルを使用していると答えた回答者は全体の33%に過ぎませんが、信頼性を向上させるためのデータの役割に対する楽観的な見方が広がっていることが調査から明らかになりました。そのため、この数字は今後変化していくだろうと予想されます。回答者のほぼ半数(46%)が、将来のエレクトロニクス製品の信頼性を向上させるための全体的な最善策として、AI、ML、シミュレーション、データアナリティクスのイノベーションを挙げています。実際、アンケート調査対象者の83%が、AIが製品の信頼性を向上させる可能性について、楽観的な見方をしています。回答者は、AIのユースケースのランキングで、故障の特定と予測(43%)、信頼性のある設計の最適化(31%)、より完全な検証と検証シミュレーションの実行(31%)、より優れたテストプランとモデルの構築(29%)を挙げています。
懸念が高まる労働力人口動態
アンケート調査対象者の半数以上(51%)は、5年以内に製品の複雑さを理解する上で経験がより重要になると予測していますが、92%の回答者が退職によって専門家を失うと予測しています。アンケート調査回答者の83%は、重要なエンジニアリングの専門知識の喪失が、従業員の満足度やブランドの評判、さらには収益の損失といったリスクを引き起こすと予想していますが、このようなリスクを軽減計画を策定しているのは39%に過ぎません。
信頼性に関するグローバルコンセンサス
世界規模で見ると、エンジニアリングの専門家たちは、信頼性への最大の影響について意見が一致し、米国の回答者はAIが5年以内に製品の信頼性を向上させることを最も楽観視していることがわかりました。欧州のアンケート調査の回答者は故障の特定と予測にAIを活用することに最も積極的姿勢を見せています。さらに、APAC地域全体の参加者回答者としたアンケート調査結果では、信頼性に関する深い専門知識を持つ重要な人材を失うことによる潜在的なリスクに対する認識が最も高いことが示されました。